日本パラリンピック史上3位タイとなる14個の金メダルを獲得したパリ大会。車いすラグビーでは、日本代表が6回目の出場にして、悲願の金メダルを獲得しました。
勝因は「堅守」でした。それは銅メダルを獲得した3年前の東京大会との失点数を比較すれば明らかです。
まずは東京大会。
1次リーグ 対フランス 53対51
〃 対デンマーク 60対51
〃 対豪州 57対53
準決勝 対英国 49対55
3位決定戦 対豪州 60対52
続いてパリ大会。
1次リーグ 対ドイツ 55対44
〃 対米国 45対42
〃 対カナダ 50対46
準決勝 対豪州 52対51※延長戦
決勝 対米国 48対41
1試合あたりの平均得点は東京が55.8、パリが50点と約6点も減ったのに対し、平均失点は東京が52.4、パリが44.8と8点近く改善しました。
決勝の米国戦でも、「堅守」がモノを言いました。世界ランキング3位の日本に対し、米国は2位。過去のパラリンピックで、日本は一度も勝利していません。
2004年アテネ大会 1次リーグ 39対54
2008年北京大会 1次リーグ 37対44
2012年ロンドン大会 1次リーグ 48対64
〃 3位決定戦 43対53
2016年リオデジャネイロ大会 1次リーグ 56対57
試合を振り返りましょう。第1ピリオドは11対14と3点のリードを許しましたが、これは想定内でした。第2ピリオドの7分、相手のミスを誘って22対22の同点に追いつき、残り時間1分10秒のところでチーム最年少の22歳・橋本勝也選手が敵陣でボールをインターセプト、そのままゴールラインを抜けていきました。
第3ピリオドに入り、一時は米国に逆転を許しましたが、30対29の4分、キャプテンの池透暢選手が自陣でパスを阻止、ボールこそ奪えなかったものの相手の攻撃のリズムを遮断します。橋本選手は3.5、池選手は3.0のハイポインター。2人とも自らの役割を果たしました。
車いすラグビーは1チーム最大12人で編成され、コートに出場できるのは4人。障がいの度合いに応じて7段階の持ち点(障がいの重い順に0.5から3.5まで0.5刻み)が与えられます。コートに出る4人の合計は8点以下でなければなりません。コートに女性選手が加わる場合は1人につき、チームの持ち点が上限より0.5ポイント増えます。
試合に戻りましょう。池選手がパスカットを試みた後、攻めあぐねた相手は4回目のタイムアウトを取りました。結局、米国はこの攻撃機会に得点を奪えず、逆に池選手がトライをあげ、日本はリードを2点差に広げました。
池選手のパスカットが大きかったのは、1試合4回まで選手が要求できる30秒のタイムアウトを使い切らせたことです。
車いすラグビーにおいて選手がタイムアウトを要求するのは以下の2パターンです。
①原則40秒以内にトライを決めなければならないが、相手の厳しいディフェンスに遭い、40秒以内にゴールを奪うのが難しい時
②12秒以内にフロントコートにボールを運ぶのが難しい時
米国がまだ10分以上を残しながら4回目のタイムアウトを取らざるを得なくなったのは、まさに日本の「堅守」によるものでした。橋本選手は「世界一のディフェンス」を金メダルの第一の要因にあげていました。
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