環太平洋諸国が参加する国際大会「パシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)」決勝が21日、大阪・花園ラグビー場で行われ、日本代表(ジャパン)はフィジー代表に17対41で敗れ、準優勝に終りました。しかし大会を通じて見ると、ベテランの復活もあり、実り多き4週間となりました。
エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は試合後の会見で、「自分たちが優れていた部分はひとつもなかった。セットプレー、ブレイクダウン、空中戦のコンタクトでも勝てませんでした」と力負けを、あっさりと認めました。「今日という日は、私たちがどれほど目標から遠く離れているかを再認識するいい機会になりました」とも。
試合は後半15分まで10対10と互角でしたが、16分にPGで勝ち越しを許すと3分後にトライを奪われ、そこからずるずると失点を重ねました。
再び指揮官。
「それでもチームは強くなったと思います。ハル(立川理道主将)のリーダーシップの下で、彼らはよりつながりを深め、お互いに協調し合うようになりました。その点については、とても満足しています。チーム内にはポジティブな文化が育ちつつあります」
ジャパンの成長ぶりを実感したのは、準決勝のサモア戦でした。過去の対戦成績はジャパンの6勝12敗。容易ならざる相手に、ペナルティトライを含む7トライを奪って49対27で勝利しました。
光ったのは2年ぶりに代表に復帰したスタンドオフ立川選手とフルバック李承信選手の働きぶりでした。立川選手の先発スタンドオフは9年ぶり。李選手にいたってはフルバックで初のスタメン。この布陣は、8日前のアメリカ代表戦(埼玉・熊谷ラグビー場)の後半でも試されました。
マン・オブ・ザ・マッチに輝いた李選手は正確なプレースキックに加え、的確なキックパスで多くの得点を演出しました。前半16分には、相手のタックルを受けながらもウイング長田智希選手の胸元にボールを届けるハイレベルなキックパスを披露。
このキックパスは、「10番」の立川選手からパスを受けてのものでした。39分には、立川選手が飛ばしパスで李選手のトライを演出するなど、2人のコンビネーションは抜群でした。
試合後、李選手は「15番として初めてスタートで出たけど、自分がラグビープレーヤーとして成長できるいい経験となった。自分のスキルやプレーの幅がスコアに繋がったので、本当に自信が持てるゲームになった」と手応えを口にしました。そして話は立川選手にも及びました。
「コミュニケーションのところは本当に学ぶべきことが多い。次、何をすべきか。チームはどういう状況か。ハドルの中でもそうですし、プレー中も明確にコミュニケーションを取っている。そこは自分が成長しないといけない部分」
昨年夏、クボタスピアーズ船橋・東京ベイがリーグワンを制した直後、立川選手に話を聞く機会がありました。秋にW杯フランス大会を控えていたこともあり、「立川さんがいないのは寂しい」と水を向けると、「いやいや、今回選ばれている選手は本当にレベルが高い」と苦笑交じりに答えてくれました。
今回のPNCを見る限り、立川選手のパフォーマンスは、とても34歳のそれには見えません。最初のエディー政権でキャップを重ねた彼は、指揮官のやり方を、誰よりも理解しています。ベテランには、まだ進化の余地が残っています。
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