リーグワンは11月21日、2024-25シーズンのパネルレフリー14人を発表しました。その中に今夏のパリ五輪・7人制ラグビー(セブンズ)で笛を吹いた桑井亜乃さんの名前がありました。リーグワンでレフリーを務めることになれば、前身のトップリーグ時代を含め、女性初となります。
桑井さんについては、7月11日配信号でも紹介しましたが、北海道出身で、帯広農業高、中京大学までは円盤投げの選手でした。22歳でラグビー選手に転向すると、身長171センチの恵まれた体躯を武器に主にロックとして活躍しました。五輪では16年リオデジャネイロ大会に出場し、女子7人制日本代表(サクラセブンズ)の五輪初トライを記録しました。サクラセブンズで通算32キャップ、15人制代表としても1キャップを刻んでいます。
現役引退後はパリ五輪のレフリーを目指し、3年目にして目標の舞台に立つことができました。パリ五輪・セブンズマッチオフィシャルに選出された日本人レフリーは男女合わせて桑井さんだけ。本大会では2試合で笛を吹きました。
桑井さんはリーグワンのパネルレフリーに選出された後で、自身のインスタグラムで、こう意気込みを綴りました。
<新たなチャレンジになりますが、私自身パフォーマンスをあげていくこと。その結果が、リーグワンでの女性レフリーの道が出来、女性が吹くことが当たり前になってもらえるようにしたい>(2024年11月29日更新)
男女雇用機会均等法が成立したのが1985年5月。すなわち2025年は同法が成立して、まる40年を迎えます。
同法は、雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保を図ることなどを目的としています。
<働く人が性別により差別されることなく、かつ、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することは、わが国が将来にわたって経済社会の活力を維持していく上で、ますます重要な課題となっています>(厚生労働省HP)
この法律がスポーツ界における女性の地位を向上させました。時間はかかりましたが、女性レフリーも珍しくはなくなってきました。
サッカーのJリーグは山下良美さんが21年5月、バスケットボールのB.LEAGUEでは北沢あや子さんが今年12月に主審の大役を担いました。
一方、ラグビーでは2017年8月に高橋真弓さんがトップリーグのアシスタントレフリーを務めましたが、主審として笛を吹くことはありませんでした。
以前、山下さんにレフリーとしての心構えについて聞くと、こんな答えが返ってきました。
「起きてしまったことに対しては、あくまで正しい判断をするべきです。でも、事前にそれが起きないようにすることのほうがもっと大事だと思います。例えば私も、ゴールキックの時にキーパーがボールを持っている時間が長いなと感じた時など、ハーフタイムに『ちょっと長いから気をつけて』と声をかけることがあります。どうしたら反則が起こらずに済むかを常に考えています」
ジャンルは違えど、これは桑井さんにも参考になるかもしれません。
日本ラグビー協会の田中勝悟ハイパフォーマンス部門長によれば、国内のレフリー資格者は「約1万人」。その中から今回パネルレフリーに選ばれたのは、わずか14人。次のような選考プロセスを経なければなりません。
「昨シーズンのパフォーマンスが良かったレフリーは継続してお願いしています。新たに選ぶレフリーに関しては3支部協会(関東、関西、九州)から推薦をいただき、プレシーズンのパフォーマンスを見た上で選出しました。研修会、面談、フィットネステストなどを経て、総合的な判断で14人を選びました」(田中部門長)
またリオデジャネイロ五輪でレフリーを担当した経験を持つ大槻卓マッチオフィシャルコーディネーターは桑井さんのレフリーとしての適性をこう語りました。
「フィジカル、特にスピード系が強い。“持久系が苦手”と本人は言っていましたが、基準をきっちりクリアしています。僕が担当で彼女を教えているのですが、圧倒されるくらいの雰囲気を持っている。そこはひとつレフリーとしての武器。ピッチの中でも自信を持って振る舞える。リーグワンの男性選手の中にあっても負けないプレゼンス(存在感)を持っているのが彼女の最大の強みです」
12月21日から開幕するリーグワン。「強く、美しく」をモットーとする桑井さんのレフリングにも注目しましょう。
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