
リーグワン2連覇を果たした東芝ブレイブルーパス東京が14日、都内で定例記者会見を開きました。その席で荒岡義和社長と星野明宏プロデューサーの退任、薫田真広ゼネラルマネジャー(GM)の新社長就任(8月1日付け)が発表されました。
東芝ブレイブルーパス東京は、正式には東芝ブレイブルーパス東京株式会社。母体企業である東芝の子会社ながら、まがりなりにも独立しています。
リーグワン・ディビジョン1に加盟する12クラブのうち、独立した法人格を持っているのは、ブレイブルーパスを加えて静岡ブルーレヴズ株式会社、株式会社NTT Sports X(浦安D-Rocks)、パナソニックスポーツ株式会社(パナソニックのスポーツ部門を分社化)の4つです。
ここで1993年にスタートしたサッカーのJリーグと比較してみましょう。
Jリーグでは加盟条件として、クラブは独立した法人格を持つことが義務付けられています。もっとも、独立した法人格といっても、株式会社だけとは限りません。公益法人での加盟も可能です。
続いて2016年にスタートしたバスケットボールのBリーグを見てみましょう。リーグへの加盟条件は次のようになっています。
<日本法に基づき設立された、発行済み株式総数の過半数を日本国籍を有する者か内国法人が保有する株式会社であること>(Bリーグ規約)
Jリーグ初代チェアマンであり、Bリーグ創設も主導した川淵三郎さんは、クラブの法人化の意義を、こう説明しています。
<私が考えていたのは、もっと大きな「全面プロ化」ということだった。選手だけでなく、監督も、コーチも、フロントも、サッカーに携わるあらゆる人間が「社員」としてではなく、純粋に「サッカーの側で生きる者として、どうなのか」という物差しで測られる世界を構築したかったのである。「社員」なのか「選手」なのか、「社員」なのか「監督」なのか、「あくまでも福利厚生の一環」なのか、それとも「採算のとれるビジネスにする気がある」のか。どちらかわからない人間、どちらかわらかない組織、どちらかわからない制度ではなく、明快な線を引ける世界を創造したかったのである>(自著『虹を掴む』講談社)
ブレイブルーパスに話を戻しましょう。「世界有数のユニークなラグビークラブ」をコンセプトに、荒岡社長は、独自の取り組みを行ってきました。
「(退任は)シーズン前から決めていました。着任前のトップリーグは9位だった。閑散とした会場で、“ここで会社をつくり、軌道に乗せてチームを再生させるというのは、(東芝からの)無茶ぶりだな”と思った。私としてはプロジェクトを担った意識でやっていました。世界有数のユニークなラグビークラブを目指し、満員の会場で優勝する姿を見たいとの思いだった。それが2年続けてできた。十分じゃないかもしれないけど、目標を達成できたのかなという思いでいます。これからは外側からチームを応援していきたい」
また荒岡社長は、新社長に就任する薫田GMに、次のようなエールを送りました。
「私はラグビー界の外からやって来て、立ち上げた事業会社を回し、チームを復活させることが役割だった。薫田さんからは違うステージに入ると思う。ラグビー界で選手、監督、GMとして日本一を経験しているのは今、彼しかいない。新たな社長業のモデルをつくっていただきたい。将来は日本ラグビーを大所高所から引っ張っていって欲しい」
荒岡社長体制下の4シーズン、東芝からのスポンサー収入を除く事業収入は初年度の約2億3700万円から約7億2000万円まで拡大しました。
その内訳(ブレイブルーパス発表)を見てみましょう。
チケット収入(6900万円→2億100万円)
ファンクラブ収入(1250万円→4180万円)
パートナー収入(1億3100万円→3億5700万円)
アカデミー収入(140万円→2100万円)
グッズ収入(200万円→1億100万円)
ブレイブルーパスが2連覇を達成した背景には、荒岡社長を中心とした背広組の奮闘があったことも見逃すわけにはいきません。リーグワンにおけるリーディングクラブとしての役割は、この先、ますます重要になっていくように思われます。
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