
2024-25シーズン、リーグワンに新規参入した狭山セコムラガッツは、ディビジョン3(D3)で2位に入り、D2・7位の清水建設江東ブルーシャークスとの入れ替え戦に臨みました。その結果、2戦とも僅差の敗北(15対17、28対31)を喫し、D2昇格は果たせませんでしたが、新規参入3チームの中では最高の成績を残しました。ラガッツのキャプテンとしてチームを牽引したフランカー飯田光紀選手にシーズンを振り返っていただきました。
――チームとしても、個人としても初のリーグワンでした。まずは1シーズンを戦い終えての感想を。
飯田光紀: これまで戦ってきたトップイーストリーグAグループ(関東ラグビー協会が主催する最上位の地域リーグのひとつ)と違った点として、まずあげられるのが試合数の多さ、試合期間の長さでした。トップイーストはシーズン8試合を3、4カ月(9~12月)で終えていました。ところがリーグワンはレギュラーシーズン15試合。入れ替え戦を含めれば倍以上の試合数ですし、約半年(12月~5月)も戦ってきたので、すごくタフなシーズンとなりました。質という点でも、トップイーストと比べると、対戦相手に外国人選手が多く、コンタクト強度がすごく上がったと感じました。
――以前と比べると、質量ともに上がったということですね。シーズン終了後のダメージも違っていましたか?
飯田: そうですね。体の痛みや疲れも例年以上でした。私もシーズン中、ケガをして戦列を離れてしまいました。
――チームとして通用したところは?
飯田: ディフェンス面は手応えがありました。突出した数字はなかったかもしれませんが、失点数の少なさはD3で2番目でした。D3優勝のマツダスカイアクティブズ広島に1勝2敗と負け越したものの、そのうちの2試合(27対31、41対35)は僅差でした。
――昨年の開幕前プレスカンファレンスでも、「ディフェンスが強み」とおっしゃっていました。
飯田: 昨年、新たに就任したディフェンス担当の木内誠アシスタントコーチ(兼アナリスト)のおかげで守備力が向上し、そこがチームの強みになってきたと自負しています。
――木内コーチからはどのような指導を?
飯田: 木内コーチは自分の中にきちんとしたディフェンス論を持っている方です。チームにディフェンスでの細かい決まりごとが増えました。最初はちょっと戸惑うこともありましたが、試合を重ねるごとに理解度が深まっていき、フィットしていったと感じています。
――D2・7位のブルーシャークスとの入れ替え戦は第1戦で2点差、第2戦は3点差の惜敗でした。D2昇格は手の届くところにあると感じられましたか?
飯田: もちろんです。1年でのD2昇格は果たせませんでしたが、それが実現可能だと再確認することができました。次こそは絶対に上がりたい。
――昇格に向けての課題は?
飯田: 接戦になった時にチームとして、どれだけ耐えられるか。外国人選手は経験豊富ですが、全体的に若いチームなので、まだ我慢し切れるほどの地力があるとは言えません。そこは入れ替え戦で戦ってみて、まだD2のチームと差があるところだと感じました。あとは戦術や戦い方をもっと詰めていかないといけない。そうじゃないと、入れ替え戦だけでなくD2に昇格して以降も勝てないと思いました。
――あらためて新シーズンへの目標を。
飯田: 次はD3で優勝しないとダメだと思っています。この7、8月は個人にフォーカスする期間。体づくりやスキルの部分などを鍛え直しています。そこで基礎をしっかり積み上げ、外国人選手ら全員が揃う9月から開幕にかけてチームとしてのパフォーマンスをどれだけ上げられるか。それが重要になってくると思っています。
――リーグワン初年度、長丁場の戦いをキャプテンとしてチームを牽引しました。
飯田: キャプテンとしての苦労はあまりなかったですね。大学時代と比べると、チームには先輩がいて、私を助けてくれます。特別チームのために何かをするというよりは、チームの一員として一生懸命、練習から全力で頑張るだけです。
――飯田選手は社員選手ですが、チームにおける社員選手とプロ選手の割合は?
飯田: 日本人選手は全員社員で、外国人選手が基本プロ契約という形態です。今の時期、社員選手は15時まで社業をこなし、それから練習に参加します。シーズン中は、就業時間を減らしていただき、ラグビーをする時間を増やしてもらっています。職場の人たちには、温かく応援していただき、感謝しています。会社で横断幕をつくっていただいた。それはすごくうれしかったし、また励みになりました。
――ご自身は身長168センチ、体重85キロと小柄です。ハンデを感じることはありませんか?
飯田: 全くないですね。むしろ180センチ、190センチの大柄で屈強な外国人選手が揃うフランカーというポジションに日本人として戦えていることが、カッコいいと感じていますし、私のモチベーションになっています。
――最後に個人の目標をお聞かせください。
飯田: とにかくD1でプレーしたい。そしてリーグワン100キャップを達成したいですね。ディビジョンによって試合数は異なりますが、年間10数試合。まだ11キャップなので、目標達成のためには、あと10年試合に出続けなければいけません。チームに必要とされる選手であり続け、できるだけラグビーを長く続けられるよう頑張りたいと思います。
<飯田光紀(いいだ・こうき)プロフィール>
1999年9月30日、山梨県生まれ。ポジションはフランカー。小中学校はサッカー。中学2年時にラグビーを並行して始め、3年生時にラグビーに専念した。日川高校では2度の全国高校ラグビー大会(花園)出場。日本大学進学後は1年時からメンバー入り。4年時には主将を任として、2年連続全国大学ラグビー選手権大会ベスト8に貢献した。2022年度にトップイーストのセコムラガッツ(現・狭山セコムラガッツ)に加入。2季目に主将を任され、リーグワン参入初年度(24-25シーズン)も主将としてチームを支えた。身長168センチ、体重85キロ。
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