
2024-25シーズン、リーグワン2連覇を達成した東芝ブレイブルーパス東京。その立役者となったスタンドオフのリッチー・モウンガ選手が、今年12月に開幕する25-26シーズン終了後にチームを退団することが決まりました。
モウンガ選手は8月7日、ニュージーランド協会と契約したことを発表しました。契約期間は2026年7月から27年末までです。
9月25日、東京・府中市での公開練習後、モウンガ選手は取材に応じました。
「シンプルにラグビーW杯にもう一度出たいからです。現状の制度ではニュージーランドでプレーしないとオールブラックス(ニュージーランド代表)に選ばれない。理由はそれだけです」
通常、オールブラックスの選手はニュージーランド協会と契約を結びます。国外でプレーする際には、サバティカルという制度を利用し、チームとの契約は1年というケースが一般的です。しかし、モウンガ選手は「サバティカル(休暇)という言い方は好きではない。自分にとって休養ではないし、1シーズンだけのものでもない。全ての覚悟を持って、このクラブでプレーしたい。リタイヤするまで、プレーすることも考えている」との理由で、23年にブレイブルーパスと3年の複数年契約を結びました。
2023年ワールドラグビーアワードの男子15人制・ドリームチーム・オブ・ザ・イヤー(年間ベスト15)、リーグワンでは2季連続個人3冠に輝くなど多くの栄誉に浴してきたモウンガ選手ですが、彼にはまだ手にしていないビッグタイトルがあります。それはW杯優勝です。2度出場したW杯は19年日本大会3位、23年フランス大会準優勝。
もっともニュージーランド協会と契約を結んだからといって、すぐ黒衣を着られる保証はありません。現在オールブラックスは、いずれも日本でプレーし、モウンガ選手とオールブラックスの10番の座を争ってきたボーデン・バレット選手、ダミアン・マッケンジー選手が主にスタンドオフを任されています。24歳のルーベン・ラヴ選手ら若手も成長しています。それでも母国に戻って3度目のW杯にチャレンジするというのですから、覚悟のほどがしのばれます。
では、ラストシーズンとなるブレイブルーパスについては、どう考えているのでしょう。
「次に何が起ころうと、今心血を注ぐのは所属しているチーム。早く去就が決まったからといって、自分個人のプレーやチームへコミットメントが揺らぐことはないと思っています」
そして、こう続けました。
「常套句かもしれないが、3連覇を意識し過ぎず目の前のことに集中する必要があります。プレシーズンは、どれだけラグビーのスキルを上げられるかに注力する。そこだけを見るべきだと思っています。2連覇しないと3連覇に挑めない。特別な立場にあることを理解しながら、まずは目の前のことをやっていきたい」
「プロとしてやっている以上、成功か失敗かは優勝したかどうかで測られます。極端な話、2位以下は失敗という世界だから優勝して終わりたい。もうひとつは日本の人々にインスピレーションを与えたいんです」
2位以下は失敗――。オールブラックス復帰願望の理由は、そこにあるのでしょう。
では、インスピレーションとは?
「まだラグビーを見たことがない人には、“こんなプレーができるんだ”と興味を持ってもらいたいし、ラグビーが好きな子どもたちには“こういう選手になりたい”と思ってもらえればうれしい。ラグビーの素晴らしさを知ってもらうきっかけになりたいんです。というのも日本に来て、自分や家族を温かく迎え入れてくれた、この国から受けた恩を自分はまだ返しきれていないからです。日本のラグビーだけではないコミュニティにもインスピレーションを与えられる存在になれたらと思っています」
これを日本のラグビーファンが耳にしたら、瑞気の涙をこぼすこと必定です。モウンガ選手のラストシーズンは、12月14日から始まります。
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