二宮清純
二宮清純コラム ノーサイドラウンジCOLUMN
2019年9月5日(木)更新

ビールグラスは左手で!
紳士のスポーツのマナー

 9月20日に開幕するラグビーW杯日本大会の経済波及効果は大会組織委員会によると約4372億円にものぼると見られています。消費税増税による消費の冷え込みを心配する事業者サイドにとっては思わぬ援軍となりそうです。

期待されるW杯特需

 夏季オリンピック、サッカーW杯とともに世界3大スポーツイベントのひとつに数えられるラグビーW杯。夏季オリンピックの開催期間が約2週間、サッカーW杯が約1カ月であるのに対し、ラグビーW杯は1カ月半にも及びます。しかもラグビーファンには富裕層が多いということもあり、「観光などの開催都市を中心とする国内各地の経済活性化につながる」(組織委員会)との期待が広がっています。

 とりわけ“W杯特需”に大きな期待を寄せているのがビール業界です。2015年のイングランド大会では、同じ会場で行なわれたサッカーの試合に比べ、平均6倍以上のビールが消費されたというデータもあります。

 ラガーマンも酒豪揃いです。中には、「エッ、この人飲めないの?」という人もいますが、それはほんの一握りです。下手に誘うと“朝までコース”が定番です。

 酒豪揃いの中でも、日本ラグビー史上最多のキャップ数98を誇る大野均選手は1、2を争います。何度か酒席をともにしたことがありますが、豪快な中にも気配りを感じさせる愉快な酒でした。

 その大野さんに、「最も思い出深い酒」について聞くと、「イングランドW杯で南アフリカ戦に勝ったあとの20杯」をあげてくれました。1杯ではなく20杯、というところがミソです。

「南アフリカに勝ったあと、オフの日にまちのパブに行きました。軽く2、3杯飲んで帰るつもりが、店内のお客が次々に“ジャパンの大野だろ? オレのおごりだ、飲め!”と。気がついたら20杯くらい飲んでいました。

 あのワールドカップでは3勝をあげたものの、残念ながら決勝トーナメントには進めなかった。日本に帰る前日は、みんなで夜中まで飲みました。翌日は空港へ向かうバスの中で昼間からビール、ビール、ビール! それまでは食生活もずっとストイックだったので、その反動でハンバーガーやフライドポテトなんかを途中で買い込みました。それで食べて、飲んで盛り上がった。あれは最高の時間でしたね」

親しき仲にも礼儀あり

 聞けば、ほとんどの選手が南アフリカ戦後は「オレのおごりだ! 飲め!」の恩恵にあずかったそうです。ラグビーファミリーならではの絆の強さが感じられるエピソードです。

 その一方でラグビーは紳士のスポーツでもあります。親しき仲にも礼儀あり、です。大野選手によると、ラグビーの世界では「左手でビールグラスを持つのがマナー」だそうです。それは以下の理由に依ります。

「ラグビーでは試合後にアフターマッチファンクションといって、両チームの選手がちょっとした食事や飲み物を囲みながら親睦を深める場があります。オーストラリアやニュージーランドなど海外の人たちには左手は"不浄"という考え方が強いので、必ず右手で握手をする。ところが冷たいグラスを持っていたら右手は冷え切って、それで握手をするのも相手に失礼なことになる。海外では『バッファローのひづめみたいだ』と表現されます。だからグラスは左手で持つんです。もし右手で持っているのが見つかったら、一度グラスの中のお酒を飲み干して左手に持ち替えないといけない。だからラガーマンは皆、自然と左手でグラスを持つようになっていますね」

 この説明はストンと胸に落ちました。冷え切った手で握手するのは失礼――。ちょっとした行為にも相手への思いやりが感じられます。長丁場のW杯、ラグビー界特有のマナーを、ぜひ全国津々浦々まで広めていきたいものです。

K.Ninomiya二宮清純
                                                 
2019年9月12日(木)更新
釜石の成功こそがW杯の成功
松尾雄治、“釜石愛”を語る
2019年9月5日(木)更新
ビールグラスは左手で!
紳士のスポーツのマナー
2019年8月29日(木)更新
トンガはナンバーエイト王国
「神様からの贈り物」マフィ
2019年8月22日(木)更新
W杯で地域振興と国際交流を
キャンプ地自治体、期待と不満
2019年8月15日(木)更新
“ブライトンの奇跡”生んだ
乾坤一擲のサインプレー
2019年8月8日(木)更新
万能型バックス松島幸太朗
世界が驚く「Xファクター」
2019年8月1日(木)更新
ラグビーの「資源」を「資産」に!
ソーシャル・イノベーション計画
2019年7月25日(木)更新
W杯のダークホース・アルゼンチン
「この10年で最も進化したチーム」
2019年7月18日(木)更新
7人制、東京五輪で表彰台へ
猛暑も「備えあれば憂いなし」
2019年7月11日(木)更新
ジャパン、新戦闘服で初陣へ
機能性と視覚効果にこだわり
2019年7月4日(木)更新
ラグビー協会、若返り人事発表
「助さん、格さん」で攻めの改革
2019年6月27日(木)更新
サンウルブズの誤算と収穫
ジャパンとの連携に課題も
2019年6月20日(木)更新
W杯ロシアは縁起のいい相手
暑さを味方に「走らせろ!」
2019年6月13日(木)更新
W杯本番まで100日
宮崎合宿スタート!
2019年6月6日(木)更新
“地獄の宮崎”で
「ワンチーム」に!
2019年5月30日(木)更新
新世界大会実現に向け
試される日本の交渉力
2019年5月23日(木)更新
「鉄と魚とラグビーのまち」
釜石に大漁旗がはためく日
2019年5月16日(木)更新
「足で稼ぐ」松田力也
「田村優に対抗できる」
2019年5月9日(木)更新
三洋電機、TL初優勝秘話
「無口な男」の最後の熱弁
2019年4月26日(金)更新
<ジャパン激闘史④>
ライバルこそ成長の糧
海外挑戦のパイオニア
2019年4月25日(木)更新
対立をエネルギーに!
舞台裏のトークバトル
2019年4月18日(木)更新
W杯の借りはW杯で返す
運命のスコットランド戦
2019年4月12日(金)更新
<ジャパン激闘史③>
オーストラリアで咲いた
ブレイブ・ブロッサムズ
2019年4月11日(木)更新
トライゲッター山田章仁
新天地でV!33歳の挑戦
2019年4月4日(木)更新
世界に通用するスクラム
長谷川コーチの“職人魂”
2019年3月29日(金)更新
<ジャパン激闘史②>
W杯初勝利を呼んだ
宿澤監督の「偵察力」
2019年3月28日(木)更新
アイルランドの弱点
「セクストンを潰せ」
2019年3月22日(金)更新
<ジャパン激闘史①>
「ブライトンの奇跡」秘話
正座が生んだ最適スクラム
2019年3月21日(木)更新
ジェイミー・ジャパンに
グレイシー柔術式トレ
2019年3月14日(木)更新
NZがやってくる!
大分の“おもてなし”
2019年3月7日(木)更新
ラガーマンの誇り
タックルを語ろう
2019年2月28日(木)更新
存在感示した中村亮土
「夢の舞台」への条件
2019年2月21日(木)更新
ジャパン支えるブラウニーの
「異次元頭脳」とタフガイ伝説
2019年2月14日(木)更新
ジャパン復帰への布石か!?
トモさん、サンウルブズ入り
2019年2月7日(木)更新
“再建人”清宮克幸
新たなるミッション
2019年1月31日(木)更新
脱エリートの心意気
代表復帰狙う藤田慶和
2019年1月24日(木)更新
トップリーグ総括
カップ戦導入の意義
2019年1月17日(木)更新
明大日本一とW杯大金星
共通する“裏方”の存在
2019年1月10日(木)更新
誰もが認めるリーダー
主将リーチ・マイケル
2018年12月27日(木)更新
日野「街の誇り」をかけた戦い
地域密着でトップリーグに新風
2018年12月20日(木)更新
ジャパンへの登竜門・TL新人賞
トライゲッター岡田優輝の「嗅覚」
2018年12月13日(木)更新
成長を求めた神戸製鋼移籍
代表「激戦区」に挑む日和佐
2018年12月6日(木)更新
ジャパンの命運握るSO田村優
引き出しの多さで世界に挑む!
2018年11月29日(木)更新
ジャパンの2018年を振り返る
レフェリー分析が目標達成のカギ
2018年11月22日(木)更新
イングランド戦、後半失速の理由
指揮官に求められる「カード捌き」
2018年11月15日(木)更新
帝京大、対抗戦V8に王手
カギ握る竹山晃暉のキック
2018年11月8日(木)更新
現代ラグビーのキーワード
「オフロードパス」の極意
2018年11月1日(木)更新
11.3最強軍団オールブラックス戦
ジャパンよ、躍進のヒントを掴め!
2018年10月25日(木)更新
“生ける伝説”ダン・カーター
「平成最後の冬」を堪能しよう
2018年10月18日(木)更新
“スパルタ”から“自立を求める”指導へ
W杯ベスト8に挑むジェイミー・ジャパン
J:COM ラグビーガイド
PageTop

J:COMへのお申し込み

特典・キャンペーン

特典・キャンペーン

個別サービスのお申し込み

資料請求

加入申込

サービス追加・変更

料金シミュレーション

問い合わせ