
46対0。14日に行なわれたリーグワン・ディビジョン1の開幕節、昨季4位の埼玉パナソニックワイルドナイツは、同王者の東芝ブレイブルーパス東京と敵地(東京・味の素スタジアム)で戦い、攻守で圧倒しました。それにしても、このスコアは誰もが予想し得ないものでした。
午前に降っていた雨はキックオフ前に止んだものの、肌寒い日曜日の午後、好カードを見ようと、3万2000人を超える観客が味の素スタジアムに集まりました。
ワイルドナイツは前半7分。スタンドオフの山沢拓也選手がPGを決めて先制します。スクラムでは相手の反則を誘い、ラインアウトモールで前進。ワイルドナイツは“接点無双”を掲げるブレイブルーパス相手にフォワード戦で優位に立ちます。
14分にはラインアウトモールからフッカーの坂手淳史主将がトライエリア左隅に飛び込みました。山沢選手がコンバージョンキックを決めた後も、ワイルドナイツが得点を重ねていきます。2トライ2ゴールに3本のPGを加え、33対0と大量リードでハーフタイムを迎えました。
後半に入ってもワイルドナイツの優位は動きません。ブレイブルーパスの反則を誘い、山沢選手の正確なプレースキックで着実に加点します。39対0の36分にはラインアウトモールからインゴール目前まで迫り、相手の反則(コラプシング)を誘いました。ブレイブルーパスの選手がスイッチオフしたスキを、フランカーのラクラン・ボーシェー選手は逃しませんでした。クイックスタートからトライエリア右に滑り込みました。
終わってみればワイルドナイツの46対0。驚きのスコアでした。
試合後、ワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(HC)は「今日の試合は“自分たちのラグビーを示していこう”と臨みました。それを選手たちが遂行してくれた」と語りました。「“これがワイルドナイツ”というものを見せられた」と胸を張ったのは坂手主将です。
記者席には、ワイルドナイツOBの山田章仁選手(九州電力キューデンヴォルテクス)の姿がありました。OBの質問に対し、坂手主将はこう答えました。
「OBなので、ワイルドナイツの良さは知っておられると思います。ディフェンスが強みというのは、これまでの選手たちがつくってきた伝統。それを僕たちは引き継いでいます。ただ今季に関して言えば、そこに“怖さ”を入れていきたい。相手にとって、怖い、ボールを奪いにいくディフェンスを目指しています」
怖さのあるディフェンス――。それを垣間見たのが前半10分の場面です。ワイルドナイツのスクラムハーフ小山大輝選手のパスがロックのマイケル・ストーバーグ選手にインターセプトされます。一気にピンチになるかと思われましたが、センター長田智希選手がタックルすると、相手より先にワイルドナイツの2人目、3人目がからみ、最後はボーシェー選手がスティール(ジャッカル)に成功し、ノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘いました。
プロップの稲垣啓太選手が補足します。
「ディフェンスのゴールは、ボールを奪うところまで。倒して終わりじゃないんです。倒した後、ボールをどうやって奪い取るのか、どうやってプレッシャーをかけるのか。その繰り返しなんです」
この日プレースキック10本全てを成功させ、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた山沢選手は「ディフェンスをしながら相手にプレッシャーをかけることが、今日はほとんどできていた。タックル、ブレイクダウンの局面で攻めのディフェンスができたのが良かった」と振り返りました。
大敗を喫したブレイブルーパスのトッド・ブラックアダーHCの表情は終始くもり気味でした。「自分たちがボールを持っていてもプレッシャーを感じ、無理なプレーを選択してエラーが起きていた」。またゲームキャプテンでフルバックの松永拓朗選手は「ペナルティーの多さで自分たちの首を締めてしまった」と言って肩を落としました。
反則数はワイルドナイツ8に対し、ブレイブルーパスは21。うちイエローカードが2つ。規律面の乱れも大敗の要因となりました。
ワイルドナイツは4季ぶりの王座奪還へ、幸先の良いスタートを切りました。
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