
日本ラグビー協会は23日、「男子ラグビーワールドカップ2035招致キックオフ宣言記者会見」を都内で行ないました。土田雅人会長は「ラグビー界だけでなくスポーツ界にとって、日本だけではなく世界にとって最高の大会にしたい」と19年大会以来、2度目の開催へ向けた意気込みを語りました。
土田会長は会見で、W杯を再招致する意義をこう述べました。
「なぜジャパンラグビーはW杯を招致し、世界一を目指すのでしょうか。それは、ラグビー競技の普及振興だけのためではありません。日本ラグビーだからこそ、この世界に提供できるメッセージがあると信じているからです」
そのメッセージは「NO SIDE SPIRIT」(ノーサイドスピリット)という言葉に込められています。土田会長は「日本から発信して世界の合言葉にしたい」と語気を強めます。
「10年後の日本は、そして世界は大きく変わっているでしょう。現実に目を向けると、様々な格差やそれに伴う分断社会が加速し、大きな社会課題になりつつあります。この時代だからこそ、日本ラグビーに根付く精神、お互いを称え合い、リスペクトするノーサイドスピリット。この言葉こそが分断が進むこれからの時代、ラグビーを通して未来に伝えていきたいメッセージです」
周知のように「ノーサイド」は主に「試合終了」を意味する言葉として使われます。試合が終わった後は敵も味方もないということです。
蛇足ですが、この言葉を好む経営者としてキヤノン会長の御手洗冨士夫氏が知られています。御手洗氏は2019年W杯日本大会において組織委員会会長を務めました。
御手洗氏は、W杯開催を1年後に控えた2018年10月31日、W杯組織委員会と日本ラグビー協会が主催し、経団連と日本経済新聞社が共催したフォーラムで、こう語りました。
<(ラグビーには)ワンフォーオール・オールフォーワン(1人はみんなのために、みんなは1人のために)という言葉もある。試合が終わればノーサイドで敵味方なく仲良くする。こういう理念は人間教育にも通じる。我が社を含め、色々な企業がラグビーチームを持つのはそういうものがあるからだと思う>(「日本経済新聞」2018年11月22日付け)
しかし、海外では「試合終了」を意味する言葉としては「ノーサイド」ではなく、主に「フルタイム」が使われています。
そこを、あえて「ノーサイド」という言葉を打ち出した点に、「日本らしさ」を強調したいという日本協会の意図が見てとれます。
ところで英ラグビーサイト「RUCK」(2026年1月10日配信)に次のような記事が掲載されました。
<日本は2019年、歴史に残るワールドカップの一つを成し遂げ、ラグビー界に輝きをもたらしました。この大会は、アジアにおけるラグビーの認知度を高め、新たなファンエンゲージメントを生み出し、いわゆる「非伝統的」な国でもスマートに開催できることを証明しました。日本のインフラ、交通、そしてホスピタリティもまた、依然として大きな強みです>
振り返れば、19年大会は、ある意味、統括団体のIRB(14年11月からワールドラグビー=WR)との戦いでもありました。放映権に始まり、スポンサー権、ライセンス権、マーチャンダイズ権など、収益に資する権利類のほぼすべてがIRBに握られました。
大会招致に尽力した森喜朗氏(組織委員会副会長)は「両手両足を縛られて、どうやってトライをとれというのかね」と、IRBの“領主”のような態度にお冠でしたが、終わってみれば68億円の黒字。99.3%という驚異的なチケットの販売率が収益を押し上げました。
この点は2度目の招致を狙う日本協会にとっても大きなアピールポイントです。岩渕健輔専務理事は、こう語りました。
「19年W杯が終わってから、様々なカテゴリーで多くのお客様に見ていただいている。それは他の国に見られないユニークなことで、我々のアドバンテージだと思っています」
この先、日本を含めた立候補国・地域の協会は、WRと連携を図りながら、詳細な申請書を提出します。そしてWRによる現地視察と実現可能性調査を終えた後、27年5月に優先候補地が絞られ、同年11月の評議会で開催地が決定します。日本ラグビーにとって今年は勝負の年となりそうです。
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