
日本ラグビーフットボール協会は、最短で2035年男子W杯招致とともに37年女子W杯招致も目指しています。国内における女子ラグビー登録者数は15年度の3569人から10年間で5412人と1.5倍以上に増えています。日本協会理事で、女子委員会の香川あかね委員長に話を聞きました。
――2月1日、女子15人制大会の全国女子ラグビー選手権大会決勝が東京・秩父宮ラグビー場で行なわれ、3537人の観客が集まりました。単独開催としては同大会最多の観客数を記録しました。
香川あかね: 今年に関しては、昨年4月から2025年秋に開催された女子W杯に向け、日本協会としても女子ラグビーの機運醸成を行なってきました。W杯、15人制の関東と関西地域大会があり、全国選手権までの一連の流れで機運が高まっていった。特に今回は日本協会の方でも、関東大会や関西大会の結果を毎回SNSで発信しました。関西協会が女子ラグビー専用アカウントをつくって告知したり、関東協会も試合時に普及イベントを実施するなど、プロモーションに力を入れた。各地域の女子大会に対する取り組みは、これまでと比べ、格段にレベルアップしたように感じます。
――具体的には?
香川: 決勝で戦ったYOKOHAMA TKMと横河武蔵野Artemi-Starsは、それまでそれぞれの地元で普及活動をしてきました。小学校訪問や通学路の交通整理に加え、地元の商店街の方々との交流も図り、ファン拡大に力を入れてきた。そういった各チームの地道な積み重ねが、今回かたちとなって表れたんだと思います。
――昨年から準決勝はリーグワンとの併催で行なわれています。
香川: その影響も大きいですね。そこで、これまで女子ラグビーを見たことがなかったというリーグワンファンの方から“女子ラグビーも面白い”という反応があった。今年1月17日に神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場でリーグワンと併催した全国女子ラグビー選手権準決勝には4242人の観客が集まりました。先に行なわれたリーグワンのキヤノンイーグルス対埼玉パナソニックワイルドナイツ戦の観客数は8101人。その半数以上が残り、ニッパツのメインスタンドがほぼ埋まりました。いわゆる男子のラグビーファンの方が、女子にも興味を持ってくださったと感じましたね。
――3年前に小田原で開催された女子決勝の観客数は704人。観客数が伸びなかったのは、同日にリーグワンの4試合が関東で開催された影響が大きかったと見られています。
香川: そこは我々としても重要視しています。昨年の決勝はリーグワン3試合が同日開催(各ディビジョン1試合ずつ。1試合は関西)でしたが、今年はリーグワンのバイウィークで1試合もなかった。だからこそ来年も準決勝はリーグワンの併催と、決勝はバイウイークで行なうことを継続していきたいと思っています。
――ちなみに有料と招待の割合は?
香川: 3分の2が有料、残りが招待券になります。
――単純計算でいくと約2400枚が有料だったということですね。
香川: 昨年決勝の観客数は招待を含め1477人だったことを考えれば、若干増えている手応えはあります。ただ、目標を達成するためには、もっとラグビー界の外にも目を向けて周知活動をやっていかなければなりません。
――目標の数とは?
香川: できれば現状の秩父宮ラグビー場を埋める2万5000人という数を、10年で到達したい。そのためには毎年2500人ずつ増やしていく必要があります。それは決して不可能じゃないと思っています。
――香川さんご自身は、2000年に協会に入られて、経理、普及、国際部門を歴任し、セブンズ日本代表のチームマネジャーを務めてきました。女子ラグビーに関わるようになったのが2010年。そこから状況の変化を感じますか?
香川: トップ選手、いわゆる代表選手の環境はかなり変わってきていると思います。ただ裾野の部分で言うと、競技人口・チーム数は増えていますが、世界のトップ4、トップ8に入るためには、普及面でも足りていないですし、整備していかなければいけないことはたくさんあると感じています。
――1月末に日本協会の土田雅人会長さんが2035年W杯招致を目指すことを明言しました。土田会長は女子W杯招致についても言及しました。女子W杯招致のためには、どんな施策が必要だと考えていますか?
香川: 現在、女子ラグビーは関東、関西、九州の3支部で分かれています。できれば全国9から10ぐらいのブロックに分けて、各ブロックで普及も育成もできるようなシステムに変えないといけない。現状のままで続けていても発展性はないと思っています。そう考えた時に、何が求心力になるのか。女子のラグビーに熱を持って活動されている地域や団体、企業が重要になってくる。各地域の女子クラブや女子ラグビーに力を入れたいと考えている都道府県協会と三支部協会とうまく連携していきたいと考えています。
――今、国内女子のラグビーは、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズを開催し、ある程度の試合数を確保しています。一方、15人制はそれと比べると試合機会が少ない印象がありますが、将来的に増やしていきたい考えはありますか?
香川: それこそ男子のリーグワンのように女子もリーグ制にするかというと、まだ資金力だったり、リソースが十分ではないので現実的ではありません。ただ、そうは言っても、変えていかなくてはいけないところもあります。どういう形が理想かわかりませんが、例えば各支部で2部制にして、ホーム&アウェイで実施することで同じ競技レベル同士の試合数を確保するという考えもあります。
――2025年3月末時点の女子ラグビー登録者数は5412人。前年比300人増ではありますが、少子化が進む中では健闘しているとも言えます。
香川: 競技人口は2050年までに1万人という目標を設定しています。そうすると年間200人弱は増やしていく必要がある。それを全国10ブロックに分けるとしたら、1ブロック20人ずつ毎年増やせば到達できる。まだ感覚としては普及面で掘り起こせていない地域もあります。各地域の方と連携を取り、アプローチをかけていければ、競技人口も増せると考えています。
(取材/杉浦泰介、構成/二宮清純)
<香川あかね(かがわ・あかね)プロフィール>
1974年、東京都出身。ラグビー好きの父親の影響で幼少期からラグビー観戦をしてきた。2000年に日本ラグビーフットボール協会に入職。経理、普及、国際などの部門を担当してきた。16年リオデジャネイロ五輪と21年東京五輪は7人制日本代表のチームマネジャーを務めた。22年に日本協会の理事に就任。23年からディレクター・オブ・ウィメンズラグビーに就き、女子ラグビー事業遂行責任者を務めている。24年には国際競技統括団体のワールドラグビーの理事も兼ねている。
データが取得できませんでした


以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。