
降雪の影響で延期となっていたリーグワン・ディビジョン1第7節、東京サントリーサンゴアス対三菱重工相模原ダイナボアーズ戦が3月7日、東京・秩父宮ラグビー場で行なわれました。試合は暫定11位のダイナボアーズが、3連勝中の同4位・サンゴリアスを34対15で下し、順位をひとつ上げました。
勝利の立役者は、プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれた24歳のスタンドオフ三宅駿選手です。今季からダイナボアーズに加入した三宅選手は、15歳でニュージーランドに渡り、当地で約8年過ごした“逆輸入選手”。身長170センチと小柄ですが、強気なランと冷静なゲームメイクが持ち味の司令塔です。
「肝の座った10番だと思います」とはチームメイトの岩村昂太選手。「タッチキックを蹴る時とかも恐れず攻めたりしていますし、アタック時の判断もすごく速い。さらには的確に声を出してくれるので、そういうところが10番らしいと感じます」。これまで10試合中8試合でスタンドオフとして先発出場しています。
3月7日のサンゴリアス戦を振り返りましょう。秩父宮ラグビー場は、雪が降り積もった1カ月前とは打って変わって、晴天に恵まれました。開始早々、ダイナボアーズが躍動します。前半2分、敵陣でスクラムハーフのブラッド・ウェバー選手のパスを受け取った三宅選手が一気に抜け出し、ノーホイッスルトライ。自らコンバージョンキックを決め、7点を先制します。
17分にもPGを決めた三宅選手は、さらに加速します。サンゴリアスに1トライを返された後の32分、敵陣での細かいパス交換から抜け出すと、今度はトライエリア右中間に飛び込みました。コンバージョンキックも成功。三宅選手は、前半終了間際にもトライをあげてハットトリックを達成しました。結局、3トライ、2ゴール、1PGで、ダイナボアーズの前半の全22得点に絡みました。
後半はサンゴリアスの反撃に遭いましたが、粘り強いディフェンスで耐え、34対15で逃げ切り、ダイナボアーズは連敗を2でストップしました。この結果、ディビジョン2との入れ替え戦圏内(11位以下)から脱出しました。
殊勲の三宅選手ですが、1週間前はへこんでいました。
3月1日、京都でのトヨタヴェルブリッツ戦で三宅選手は、プレースキック5本中4本を外しました。「人生の中でも一番ひどいキックだった」と本人。スコアは29対31。外したコンバージョンキックの3本はいずれも角度のない難しい位置からのものでしたが、1本でも決まっていれば、勝敗は入れ替わっていました。試合後、三宅選手は自らを責め、涙を流していました。
傷心の三宅選手は、オフの2日間を実家の神戸に過ごしました。「日本だけでなくニュージーランドでキックが良かった時の動画を見直しました。技術的に変えたのは少しだけ。あとは何度も映像を見返すことで、“自分はできる!”と思うようにした」と本人。これが吉と出ました。
サンゴリアス戦後、ダイナボアーズのグレン・ディレーニーヘッドコーチ(HC)は、三宅選手をこう褒めました。
「まずはチームも私も、みんなが駿のことを信頼しています。確かに先週、彼は自分のことを責めていましたが、そのせいで今週、悪影響が出るとは考えていませんでした。実際、この試合でいいパフォーマンスを見せてくれた。トライを3つも取ったことはうれしかったですが、私が一番うれしかったのはゲームコントロールの部分。まだ若い選手ですけれども、日本ラグビーにとって明るい未来、将来のある選手だと思っています」
続いてオールブラックス18キャップのウェバー選手。
「彼は“自分のせいだ”と責任を感じていたのですが、チームメイトの誰もが、そう思っていない。そもそも自分たちがあの展開(2点差の接戦)まで持っていけたのは、彼の貢献があったから。敗因はいろいろなところにあった。まだ若いですが、冷静な判断ができている。そういうプレーを見せてくれる彼を誇りに思う」
そのウェバー選手に、三宅選手が持つ“ニュージーランドらしさ”について訊ねると、こう答えました。
「彼はニュージーランドのフレア(閃き)を出してくれる。内側にステップを切るところも、おそらくニュージーランドのスターに学んだじゃないかと思うくらいキレがある。若いけど、ゲームコントロールもすごく冷静。どんどんレベルアップしている。日本のファンも、ニュージーランドのファンも今後、彼がどこまでいくのか楽しみにしてほしい」
このように将来を嘱望される三宅選手。本人は「焦らず、ウェバー選手やルカニョ・アム選手(南アフリカ代表)たちから学びながら成長していきたい」と冷静に話していました。
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