
リーグワン・ディビジョン1プレーオフ準々決勝が5月23、24日に東京・秩父宮ラグビー場で行なわれ、レギュラーシーズン4位の東京サントリーサンゴリアスと同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが準決勝にコマを進めました。23日のサンゴリアスvs.リコーブラックラムズ東京戦は、まさかの決着となりました。
曇り空の下で行なわれた試合はサンゴリアスが先制しました。3分、スタンドオフのケイレブ・トラスク選手の飛ばしパスを受けたウイングのチェスリン・コルビ選手が右隅に飛び込みました。8分にはウイング尾﨑泰雅選手が左隅にフィニッシュ。サンゴリアスは最初の15分間で17対0と点差を広げました。
前半を10対27で終えたブラックラムズは後半、反撃に転じます。9分と23分にはウイングのメイン平選手がトライをあげ、点差を詰めていきます。ついに32分、フッカー大西将史選手のトライで32対33と1点差に。38分にはスタンドオフ中楠一期選手がPGを決め、35対33と逆転しました。
さぁ試合時間の残り2分半をどう守り切るか。ブラックラムズはボールを保持しながら時間を使いました。
すると、サンゴリアスは焦りからか、途中出場のプロップ森川由起乙選手が痛恨の反則を犯してしまいます。残り時間40秒。この時点でペナルティーを獲得したブラックラムズには4つの選択肢がありました。
① PGを狙う
② タッチライン外に直接蹴り出し、マイボールラインアウト獲得
③ マイボールスクラムで再開
④ タップキックでリスタート
セオリーなら②か③です。ボールをキープして時間を使い、80分経過を知らせるホーンが鳴れば、外に蹴り出して試合は終わりです。
しかし、ここでキャプテンのスクラムハーフTJ・ペレナラ選手が選んだのは①でした。
キッカーの中楠選手がボールをセットしている間に80分経過を知らせるホーンが会場に響きました。PGが決まるか、ボールがデッドボールラインを越えれば、ブラックラムズの勝利で試合は終わります。
ところが中楠選手の右足から放たれた楕円球は、ポスト右に逸れていきました。
トライエリア内でボールをキャッチしたのは、サンゴリアスのフルバック松島幸太朗選手。「皆、もう逆転する気満々で(ボールが落ちそうな場所に)ポジショニングしていました。(キックを)外す前提で動いていました」
場内の空気もサンゴリアスに味方します。
慌てたブラックラムズは反則を重ね、自陣への侵入を許します。最後は途中出場のスクラムハーフ福田健太選手に突破され、サポートに入った森川選手にトライを奪われました。
大型ビジョンに表示された試合時間は84分32秒。サンゴリアスが38対35と再逆転に成功。コルビ選手がコンバージョンキックを決め、ファイナルスコアは40対35。
最後の「ショット」の判断について、果たして選択は正しかったのでしょうか。決定権を持つキャプテンのペレナラ選手は「(中楠)一期1人で決めたわけではない。最終的には自分の判断」と話しました。「残り30秒あったので、今だったらスクラムを選択していたかもしれない……」とも。
サンゴリアス側は、この選択をどう見ていたのでしょう。既にベンチに下がっていたスクラムハーフ流大選手はこう語りました。
「勝てるチャンスが数パーセントきたかな、というふうに正直、思いました。もちろんリコーさんの判断をリスペクトしていますし、その選択は僕らには関係ないことです。僕らができるのはキックが外れた場合に備えることでした」
最後のPG、Hポールまでの距離は約45メートル。角度も40度ほどあり、決して容易なショットではありませんでした。あえて言うなら、スクラムもしくはタップキックからのリスタートでもよかったかもしれません。
ブラックラムズにとっては、リーグワンになってから初のプレーオフでした。対するサンゴリアスは5シーズン全てに出場しています。チームとしての経験値が明暗を分けたようにも見えました。
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