
2025-26シーズンのリーグワン・ディビジョン1で8位となった三重ホンダヒートは、7月1日、チーム名を栃木ホンダヒートに改めました。ホストエリアは三重県鈴鹿市から栃木県宇都宮市へ。新天地で新シーズンを迎えるヒートの大橋幸平ゼネラルマネジャー(GM)に話を聞きました。
――2年前の9月に本拠地を三重県鈴鹿市から栃木県宇都宮市への移転を発表しました。改めて、ホストエリア変更の理由は?
大橋幸平: 一番は集客の問題ですね。ディビジョン1で順位、観客動員数で下位にいた中、社内外、そして行政の皆様のお力添えをいただきながら進めてきましたが、集客力という課題を克服することができなかった。理由としては、スタジアムのアクセスやキャパシティなどの問題があった。リーグワンがプロ化を目指す中で、我々としても収益を無視することはできない。一方でラグビー部創設以来、60年以上も、鈴鹿を拠点としていたので苦渋の決断でした。
――栃木には、バスケットボール(宇都宮ブレックス)、サッカー(栃木SC、栃木シティ)、自転車競技(Astemo宇都宮ブリッツェン)などプロチームが多く存在します。
大橋: おっしゃるようにスポーツ観戦を楽しむ土壌が既にあります。それも移転のメリットと言えると思います。県内の他競技のチームは、ファンを取り合うライバルではなく、一緒に地域を盛り上げていく仲間だと考えています。
――メインのホストスタジアムとなるホンダヒート・グリーンスタジアム(栃木県グリーンスタジアム)は収容人数が約1万4000人です。既に25-26シーズンは4試合で使用し、1試合平均約5600人を集めました。
大橋: 確固たるホストスタジアムを有しているのは、我々の強みです。新シーズンは1試合でも多く1万人以上の試合を開催したい。過去に秩父宮ラグビー場で1万人以上を記録していますが、昨季(25-26シーズン)のホストゲーム全9試合の1試合平均は5964人。それをいかに1万人に近付けていくか。でなければ、我々が移転した意味を問われることになりますからね。
――25-26シーズンからGMに就任しました。1年目を終えての手応えは?
大橋: 25-26シーズン、連敗が続いた時、折れることなく自分たちがやってきたことを信じてやり切ろうという話を続けてきました。それで後半戦、徐々に勝ち星を積み上げることができた。我慢強いチームになってきたという自負はあります。
――新シーズンに向け、強化ポイントは?
大橋: 昨季は上位チームに勝つことができた一方で、プレーオフ出場権を争ったライバルチームには勝てなかった。一体感だったり、波に乗った時の強さはあるものの、パフォーマンスが安定しなかった。チームが強くなる過渡期と捉えることもできますが、再現性、安定感は必須です。強化ポイントはゲームプランを高度化し、ストラクチャーの精度を上げていくこと。その点は新HCとも話を詰めています。
――3シーズン指揮を執ったイタリア代表元ヘッドコーチ(HC)のキアラン・クローリーさんが25-26シーズン限りで退任しました。後任はまだ発表されていませんが、候補者は?
大橋: まだここで名前を明かすことはできませんが、来週、新体制を発表予定ですので、それを楽しみにしていただけたらと思います。我々の選考基準としては、国籍や人種に関係なく日本のラグビーを理解しているという点を最優先しました。海外で実績のある著名なHCという選択肢も強化を見据える上でありかもしれません。しかし、新シーズンはカテゴリ区分の変更があり、スコッドの日本人選手の割合が増えることは確実なので、日本ラグビーを理解していることを人選の要件にしました。逆に言えば、ネームバリューでは選んでいません。
――選手は25-26シーズン限りで16人が退団しました。
大橋: 25-26シーズンのアーリーエントリー5人を含め、退団者と同じくらいの数を補強しようと考えています。カテゴリA1(他協会の代表歴がなく、義務教育期間9年中6年以上を日本で居住した者。または本人、両親・祖父母のうち1人が日本で出生していること)を中心とした補強計画を立て、そこは順調に進んでいます。チームが日本一を目指していく上で、競技力はもとよりマインドセットを重要視しています。我々としては経験豊富な選手が補強ポイント。いわゆる日本代表キャップやチームの主将経験がある選手です。こちらも何人かは新体制発表時にお知らせできると思います。
――GMから見て、ヒートの魅力とは?
大橋: 一体感と勢いですね。あとは非常に明るい。ただ今後発展していくためにも勝ち切る勝負強さ、安定感や再現性はマストになってくる。そのためには、ある程度の厳しさ、規律面をチームの文化に加えていかないといけません。“いい時はいいんだけど……”ではダメですからね。
――新シーズンに向けての抱負を。
大橋: 自分たちのオリジナリティを発揮し、観客がワクワクするようなラグビーを見せたいです。ダイナミックで、リスクを恐れず攻めていく姿勢を貫いていく。(フィジカル)コンタクトの部分も重要視しています。フィールド上で意外性のあるプレーをお見せしたいと思っています。
――最後に目標を。
大橋: まずはプレーオフに進出し、そこで1勝をあげ、ベスト4以上に入ることです。その先に日本一が見えてくる。事業面では、栃木の皆さんにラグビーをはじめ、ホンダヒートに興味を持っていただき、楽しんでもらえるか。そのための施策は積極的に打っていきたい。地域のイベントに積極的に参加し、認知度アップを図ります。オフに入りましたので、選手にもイベントに参加してもらうことを考えています。大花火を打ち上げるというよりは地道な草の根活動が中心になる。チームビジョンである「最も強く、最も尊敬され、最も愛される」を体現していきたいです。
(取材/杉浦泰介、構成/二宮清純)
<大橋幸平(おおはし・こうへい)プロフィール>
1981年6月9日、大阪府出身。現役時代のポジションはプロップ。中学1年でラグビーを始める。大阪工大高(現・常翔学園)、摂南大を経て2004年、ホンダに入社。ホンダヒートで12シーズンプレーした。現役引退後、社業に専念。25-26シーズンから三重ホンダヒート(現・栃木ホンダヒート)のゼネラルマネジャーに就き、ヒートのチーム強化、運営に力を注いでいる。
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