
リーグワン・ディビジョン1プレーオフ決勝が7日に東京・MUFGスタジアム(国立競技場)で行なわれ、レギュラーシーズン1位のコベルコ神戸スティーラーズが同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイを22対13で破り、リーグワン初優勝を果たしました。前身のトップリーグ時代を含めれば、7季ぶりの日本一です。
就任3季目、今季限りでチームを去るデイブ・レニーヘッドコーチ(HC)が、今にも雨が振り出しそうな国立の空を3度も舞いました。
「選手たちがプライドを見せてくれたし、彼らの努力を誇りに思います。多くの人間たちがハードワークをして、たくさんの時間を費やしてきた。選手、会社、まちにとっても、素晴らしい一日になりました」
ニュージーランド出身のレニーさんが、チーム統括責任者ディレクター・オブ・ラグビー兼任でHCに就任したのが2022年5月。前年9位のチームをどう立て直すか。スーパーラグビーのチーフス(ニュージーランド)を2連覇に導いた手腕に注目が集まりました。
1季目は5位、2季目は3位、そして優勝。まさにホップ、ステップ、ジャンプです。この3年で、レニーHCがチームにもたらしたものを選手たちに聞きました。
まずは共同主将のブロディ・レタリック選手。
「彼はチームだけじゃなくて、会社であったり、神戸の地元のコミュニティにもいろいろなものをもたらしてくれた。何しろ9位だったところを優勝まで引き上げてくれた。周りが持っていたスティーラーズの印象を変えましたし、たくさんの選手、コーチ、スタッフの意識を変えてくれたと思います」
続いてもう1人の共同主将、李承信選手。
「レンズ(レニーHC)が来てから、スティーラーズがどういう存在かを改め直した。自分たちが誰を代表しているのかを常に問い続けながらラグビーをしてきました。優勝するかたちで恩返しできて良かったです」
レニーHCがこだわったのがシビックプライドです。神戸市内で毎年行われる追悼の「阪神大震災 1・17のつどい」に、ここ2シーズンはチーム全員で参加しました。神戸のまちを代表しているという認識を、改めて心に刻むためです。
ゲーム面ではどうでしょう。レニーHC就任前の22-23シーズンと今季を比較すると、得点は1試合平均29.4から41.7に大幅アップ。失点は1試合平均35.6から25.3、反則数も同12.7個から11.9と改善されました。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイとのプレーオフ決勝、19対13とリードした後半16分に乾坤一擲のスティールでチームを救った髙尾時流選手はこう語っていました。
「一人ひとりをよく見ていて、1対1のミーティングの時間が増えました。ラグビー以外のところでのコネクションを大事にする方で神戸に合っていた。チームの文化をつくるのが上手い人。それが3年かかったけど、優勝というかたちに繋がったのかなと思います。元々、キックカウンターとかアンストラクチャーのアタックが神戸の武器だったのですが、それぞれの役割を細分化し、求めるものを数値で示した。それをクリアできていなかったらのNOを突きつけられた。その結果、グラウンドに立っている一人ひとりが仕事を遂行できるようになった」
スタッフも皆、一枚岩でした。チーフスでもレニーHCに仕えたフィル・ヒーリーヘッドアスレティックパフォーマンスコーチ(HAPC)は選手たちに厳しいノルマを課しました。
チーム最年長40歳のベテラン山下裕史選手は、こう語ります。
「システムを1年目につくり、それを各個人に落とし込み、経験を積ませた。この3年で経験値50キャップ以上の選手がだいぶ増えました。今季で言えば、アタックの知識量が上がったこととディフェンスコーチが新しく来て、そのシステムがハマッたのだと思います。シーズン中は結構ペナルティーが多かったですが、このプレーオフでオフサイドの反則は減りました」
山下選手の言葉通り、決勝での反則数はスピアーズが16に対し、8。スピアーズのマキシファウルア主将は「規律のところで、自分たちにプレッシャーを掛けてしまった」と悔しがりました。
さてスティーラーズを再建したレニーさんには、さらなる大仕事が待っています。今季終了後にニュージーランド代表(オールブラックス)のHCに就任します。W杯では2015年イングランド大会以来、優勝から遠ざかっているオールブラックスの再建を託されました。レニーさんに加え、スティーラーズからヒーリーHAPC、アタック担当のマイク・ブレアコーチも入閣します。日本のクラブで指揮を執ったHCが、その手腕を買われてオールブラックスの指揮官に就任するのは初めてのこと(スティーブ・ハンセン氏とイアン・フォスター氏はオールブラックスを率いた後、トヨタヴェルブリッツのHCに就任)。その手腕にも注目です。
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