
7月12日、7人制ラグビーの日本一を決める「なの花薬局ジャパンセブンズ2026」が東京・秩父宮ラグビー場で行なわれ、東日本学生セブンズ優勝の帝京大学が初優勝を飾りました。パリ五輪代表の丸尾崇真選手擁する秋田セブンズチームは、その帝京大に決勝で5対31と敗れたものの、チーム創立2年目にして準優勝を果たしました。
全3試合でフル出場した丸尾選手は悔しさをにじませつつも、手応えを口にしました。「去年は(予選を兼ねた大会で)負けて出ることすらできなかった。その意味ではこの舞台に立てたことは大きい。チームには秩父宮のピッチに立ったことのない選手もたくさんいる。そんな野武士軍団みたいなやつらがこの舞台に立ち、帝京という日本を代表するような大学と試合をしたことに僕は意味があると思っています」
丸尾選手は東京生まれの東京育ち。早稲田大学の主将を務め、卒業後はトップリーグ(当時)のチームに進まず、イギリスのオックスフォード大学大学院への進学を目指した異色のキャリアの持ち主です。その後、15人制からセブンズに転向し、日本代表入り。24年のパリ五輪に出場しました。
その丸尾選手が秋田県東成瀬村で暮らし始めたのは、昨年4月のことです。同地を拠点とする東成瀬テックソリューションズに所属し、村の地域おこし協力隊の一人として、地域課題の解決に取り組んでいます。
活動の一環として、同年5月、秋田7s(秋田セブンズ)を立ち上げました。昨年は国スポに秋田県選抜として出場し、優勝を果たしました。設立2季目の今季は、ジャパンセブンズで準優勝。チームディレクター兼選手として、丸尾選手は奮闘の日々を送っています。
「ラグビーで上を目指そうと思ったら、今は首都圏に行き着く構図になっています。僕たちが戦う意味、意義というのは、秋田の力を示すこと。どの地域からでもしっかりと上を目指すことで、各地域のラグビー文化を残していくことができる。現在、地方のラグビーは消えそうな状態なんです。おそらく首都圏にいる人たちは想像できないと思うのですが、僕たちが全国大会で勝ち、日本一になることで、秋田のみんな、そして秋田の子どもたちに夢と希望を与えられると思っています」
リーグワンにおいても、ディビジョン1(25-26シーズン)の12チーム中9チームが首都圏をホストエリアとしているように、一極集中は顕著です。来季は三重ホンダヒートが鈴鹿市から宇都宮市に拠点を移し、首都圏チームの割合は8割を超えます。
さらに国内では少子化が進み、地方の部活動では廃部・合同チーム結成が相次いでいます。高校ラグビーに目を向ければ、秋田県は昨年6チーム(1チームが3校による合同チーム)が全国高校ラグビーフットボール大会(花園)県予選に出場しました。花園での最多出場(73)&優勝(15)を誇る名門・秋田工高は、1987年度を最後に優勝から遠ざかっています。ちなみに2025年の国勢調査によると、秋田県の人口減少率は8.1%で、全国ワーストでした。
丸尾選手の活動は秋田セブンズにとどまりません。この4月には、元セブンズ日本代表の林大成選手と地域対抗男子セブンズリーグという全国大会を立ち上げました。同大会は3つの地域協会(関東、関西、九州)が主催し、初年度の今年は18チームが参加しています。
「このリーグがスタートするのには、5年ぐらいはかかると思っていました。5年で8チームぐらいになるかと。でも1年で20チーム近く集まった。これは別に僕がすごいわけではなく、それだけ各地域が困っていたということ。もう自分たちでやるしかない、と。僕は秋田のやり方をみんなにレクチャーしました。ラグビーが盛んではない地域も手を挙げてくれた。僕たちがやっていることは、もしかしたらあがく程度のことなのかもしれない。でも、今できるのはそれしかない。何もしなければ緩やかにゼロになるだけですから」
そして、続けます。
「来年は24チームに増やし、東西の2地区に分けたい。最終的には世界大会を開催するのが目標です。秋田と世界をつなぐ。他のスポーツができていないことをやっていきたい。世界に秋田をアピールし、秋田の子どもたちに世界を見せる。僕たちは地元から世界を目指せるということを、このリーグで証明したい。大会が活性化すれば、日本のセブンズのレベルも上がっていく。それは女子の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズが物語っています。地域対抗リーグに出場したチームからオリンピック選手が誕生すれば、(ラグビーの裾野は)雪だるま式に膨らんでいくと思います」
秋田から世界へ――。丸尾選手の挑戦は続きます。
(取材/杉浦泰介、構成/二宮清純)
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