
大金星まで、あと一歩でした。8月8日、大阪・東大阪市花園ラグビー場。リポビタンDチャレンジカップで、世界ランキング10位の日本代表は同8位のオーストラリア代表と対戦し、32対35で敗れました。なお3点差は、対オーストラリア戦では最少でした。
南半球は真冬です。一方、試合会場の日本は真夏です。高温多湿の気象条件が日本に味方するのではないか……。試合前には、そんな希望的観測が流れていました。
果たして、先制したのは日本でした。前半12分、敵陣中央でパスを受けたスタンドオフの伊藤龍之介選手が鋭いステップで相手をかわし、ゴールポスト真下に飛び込みました。フルバックの松永拓朗選手がコンバージョンキックを決め、7対0。
しかし、このトライで目が覚めたのか、オーストラリアは逆襲に転じます。15分にウイングのハリー・ポッター選手、26分にはフルバックのトム・ライト選手がトライを決め(いずれもコンバージョンに成功)、日本は7点を追う展開となりました。
オーストラリアのロック、マイルズ・アマトセロ選手が危険なタックルでイエローカード(オフ・フィールド・レビューでレッドカードに繰り上げ)を受け、20分間退場となったのは32分です。ここは攻め所です。
2分後の34分、敵陣でスクラムハーフの齋藤直人選手からパスを受けたナンバーエイト、マキシファウルア選手がトライエリア左中間にボールをねじ込み、コンバージョンも成功して、日本は試合を振り出しに戻しました。
だが、日本は数的優位の状況をいかすことができません。後半2分、オフロードパスの連続で前進を許し、ウイングのマックス・ジョーゲンセン選手にトライを決められます。さらに2つのトライを重ねられ、点差を広げられます。
最後の見せ場は25対35の後半38分。フォワードがじりじりと前に出て、トライエリアに迫ります。最後はロック、ワーナー・ディアンズ選手がゴールポスト左にトライ。コンバージョンも決まり、32対35。まだ奇蹟の可能性は残されていましたが、フランカーのリーチマイケル選手がハンドリングエラーを犯し、万事休しました。
スタジアムに詰め掛けた2万1322人の観衆からは、大健闘の選手たちに大きな拍手が送られました。地の利があったとはいえ、W杯優勝経験国を、あと一歩まで追い詰めた戦いぶりは称えられてしかるべきでしょう。
ここに対オーストラリア代表8試合のスコアを記します。
・75年8月2日 ●7対37 豪州遠征第1戦
・75年8月17日 ●25対50 豪州遠征第2戦
・87年6月3日 ●23対42 第1回W杯
・07年9月8日 ●3対91 第6回W杯
・17年11月4日 ●30対63 国内テストマッチ
・21年10月23日 ●23対32 国内テストマッチ
・25年10月25日 ●15対19 国内テストマッチ
・26年8月8日 ●32対35 国内テストマッチ
直近の2試合に限って言えば、4点差と3点差。いずれもホームでの試合だった点を割り引いても、両国の差が縮まりつつあるのは間違いないでしょう。
試合から3日後、オーストラリア出身の日本代表フランカー、ベン・ガンター選手は、こう語りました。
「エディーの回答が全てかなと思う。ティア1のチームに対しても、チャンスはつくれたが、そのチャンスを生かし切れていないところがトップ5とトップ12のチームの差。トップ5のチーム、ランキングが上のチームに対して勝っていくにはどれだけシンプルに落とし込んでいくか」
これはエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)の<ファンダメンタルスキルに尽きる。勢いを作ったときにミスをしていた>(「J SPORTSラグビーコラム&ニュース」2026年8月10日配信)という言葉を受けてのものです。
エディーさんが言わんとしたプレーは、25対35の後半34分、キックカウンターのチャンスでウイングの矢崎由高選手がボールをキャッチできなかった場面を指します。終了間際、リーチ選手が浅いタックルでボールを前方にこぼしたシーンもそうかもしれません。
凡事徹底――。そのことを改めて痛感させられた試合でもありました。
なお、オーストラリアとの第2戦はタウンズビルで行なわれます。ホームでの善戦をアウェイで、どういかすか。ガンター選手は「戦術面は言えないが、アタックでもディフェンスでも細かいところをどのように磨き上げるか。最終的にそこの差が最後のスコアに出てくると思っている」と語っていました。
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