
リーグワン2季連続準優勝のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが8月17日、千葉・船橋市内で、今年12月に開幕する新シーズンに向け、始動しました。翌18日の会見では、11季目の指揮を執るフラン・ルディケヘッドコーチ(HC)、新たにチームに加わったセイララ・マプスアアシスタントコーチ(AC)、ジェームス・レンチースACらが出席し、新シーズンへの抱負を述べました。
従来のスピアーズは、5人のACを置いていましたが、2026-27シーズンは1人増員し、6人体制で臨みます。その理由ついてルディケHCは、こう説明しました。
「チームディレクター(TD)の鈴木力さん、ゼネラルマネジャー(GM)の前川泰慶さんと話し合い、コーチ陣のバランスを考えました。(前ディフェンス担当のスコッド・)マクラウドコーチは元々バックス出身のコーチ。今回加わったレンチースコーチはフォワード出身。ラッセル(・ウィンター)コーチ、今野(達朗)コーチ、山村(亮)コーチ、そして自分もフォワード出身です。コーチ陣のバランスを考え、バックス出身でスキルのところを見られるマプスアコーチを採用しました。あとはスコッドが63人もいることが、コーチの人数を増やした理由です」
スキル担当として新たに加わったマプスアACは、2011-12シーズンから3シーズン、スピアーズでプレーしたOBです。選手としてはサモア代表26キャップを誇り、W杯も2大会(07年フランス、11年ニュージーランド)に出場しています。指導者としてはサモア代表のHCを3年間務め、23年のW杯フランス大会では日本代表と対戦もしました。
指導者として12年ぶりに帰って来たマプスアAC、スピアーズの印象をこう口にしました。
「(自分が在籍した)当時とはパフォーマンスレベルが違うが、いいチーム文化が残っている。自分が戻ってきて感じたのは、チームや会社に対する感謝や思いやりの気持ちもそうですが、皆が学ぶ姿勢を持っている」
そのマプスアACと2シーズン、チームメイトだったのが、12年入団の立川理道選手です。
「マプスはまずはいい人。いいキャラクターであり、いいリーダー。現役の時は自分が10(スタンドオフ)でマプスが12(センター)だったりとか、ポジションが近く、よく一緒に試合に出ていたので、助けられた部分もたくさんありました。また戻ってきてくれてうれしい。あとは彼がいるだけで、日本人、外国人関係なくチームが締まる。スキルの高さは、キャッチパスに限らずタックルにも表れていました。激しさの中にも、彼なりの細かいスキルレベルの高さを感じました。そういうところはコーチとしてもすごく生きると思いますし、チームにいい影響を与えてくれるんじゃないかと思っています」
マプスアACについて、鈴木TDにも訊ねました。
「前川と自分の中では、クボタのOBがまた戻ってきてくれるサイクルができたらいい、と考えていました。ウチのカルチャーのひとつは、長くチームに在籍し、レガシーを残してくれている外国人選手が多いこと。その選手たちが引退した後、指導者となり、キャリアを積んだ後、またチームに戻ってくるというサイクルをつくりたかったんです」
そして、こう続けました。
「マプスアは日本人選手をリスペクトしてくれて、チームマンとして在籍期間中、大きなレガシーをチームに残してくれた。フランはマプスアのことを知りませんでしたが、私と前川から『間違いない人材だから』と推薦し、会ったところ、フランも『グレートだ』と言ってくれて、採用が決まりました」
かつて石川充前GM(現・ビジネスパートナーシッププロデューサー)も外国人選手の採用基準として「いい人間であること。クボタに合う選手、スタッフという基準でアプローチしています」と語っていました。
この採用基準が、外国人選手の高い定着率につながっているのかもしれません。ルディケHCは11季目を迎え、外国人選手も比較的長く在籍しています。南アフリカ代表のフッカー、マルコム・マークス選手は7季目、同国出身のロック、ルアン・ボタ選手は9季目、トンガ出身のセンター、テアウパ・シオネ選手は最長の10季目となります。昨季限りで退団した日本代表19キャップのフランカー、“ラピース”ことピーター・ラブスカフニ選手も10季に渡り、チームに在籍しました。
外国人選手が長くチームに在籍し、何かを残し、スキルアップしてコーチとして戻ってくるスピアーズのカルチャーは、チーム強化の隠れたエコシステムと言えるかもしれません。
(取材/杉浦泰介、構成/二宮清純)
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