
日本ラグビー協会創立100周年の記念試合を、世界ランキング9位の日本代表は白星で飾ることができませんでした。10月24日、東京・秩父宮ラグビー場で行なわれた同10位フィジー代表とのテストマッチは、一進一退の展開ながら28対34で競り負けました。この結果、日本は10月26日付けの世界ランキングで12位に陥落しました。
日本はフィジーと9月のパシフィックネーションズカップ(PNC)決勝で対戦し、20対15で勝利しています。連勝を狙いましたが、フィジーに雪辱を許してしまいました。
試合前から秩父宮ラグビー場の空には暗雲が漂っていました。冷たい雨がピッチを濡らし、素早いパス回しを生命線とする日本にとっては、不利なコンディションでした。
立ち上がりは悪くありませんでした。日本は前半6分、ラインアウトモールからスクラムハーフ齋藤直人共同主将がトライエリア右中間に飛び込みました。フルバック松永拓朗選手のコンバージョンキックも決まり、7点を先制します。
だが、直後のキックオフボールをナンバーエイトのマキシファウルア選手が落球してから流れが変わります。日本は10分と15分に連続トライを許し、7対14で逆転されてしまいます。
その後、1トライ1ゴールずつ奪い合うと、34分にはフィジーのナンバーエイト、モティキアイ・マリー選手が危険なタックルでイエローカード(のちに20分レッドに)を受けます。日本は数的優位の状況を生かして35分にラインアウトモールからマキシ選手がトライ。松永選手のゴールも決まり、21対21の同点でハーフタイムを迎えました。
しかし、日本はアドバンテージを生かせません。4分、カウンターからスクラムハーフのテリオ・タマニ選手にトライを奪われ、21対28に。13分、ロックのワーナー・ディアンズ共同主将のトライと松永選手のゴールで追いついたものの、以降は反則やミスを重ねてしまいます。20分と29分にPGを決められ、6点差とされました。
28対34の終了間際、日本は敵陣に攻め込みます。1トライ1ゴールで逆転の局面です。だが途中出場のスクラムハーフ、藤原忍選手はボールが手に付かず、痛恨のノックフォワード。結局、28対34のままノーサイド。雨で滑ったのかもしれませんが、手痛いミスでした。
「空中戦、グラウンドワーク、ブレイクダウンで負けてしまった」とは試合後のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)。反則数は日本が11に対し、フィジーは3。ディアンズ共同主将は「簡単なミスが多く、相手にボールを渡していた。自分たちの超速ラグビーができなかった」と振り返りました。
この日の日本はラグビーサイト「ラグビーパス」によると、ターンオーバーで19回もボールを失いました。これでは攻撃のモメンタムは生まれません。
ミスが続いたハイボールキャッチについて問われた松永選手は「雨で難しい天候というのはあったと思うんですが、こぼれ球の反応を良くしていかないといけないし、捕る選手の責任も高めないといけない」と反省の弁を口にしましたが、雨天対策が不十分だったということでしょうか。
試合後、報道陣から100周年記念試合を白星で飾れなかったことについて聞かれたエディーHCは「今朝ゴルフについての本を読んでいた」と前置きし、こんな話を披露しました。
「意図的にOBを打つ選手が、どれほどいると思いますか。頑張ってないからですかね。わざとOBを打とうとする選手はいません。『結果が、出せなかったことについてどう思いますか』という質問自体がどうなのかと思う。100周年ということ自体は、自分にはコントロール外のこと。自分たちにできるのは、しっかり準備し、気持ちの込もったプレーをさせる。そこはできていたと思う」
言わんとすることはわかりますが、少々、開き直っているようにも感じられました。「自分にはコントロール外」とはいえ、「100周年」の記念試合には、先達の多くの思いが込められています。
ラグビーは、不確実性にみちたスポーツです。指揮官には、コントロール外のことまでコントロールする技量が求められます。ましてや「名将」の誉高いエディーHCのことです。OB続出の理由をしっかりと分析し、次に進んでもらいたいものです。
さて日本の今後の日程です。現地時間11月7日(日本時間8日未明)のウェールズ戦を皮切りに、イングランド戦、スコットランド戦、順位決定戦と強豪相手のアウェイ戦が続きます。「試練の秋」転じて「実りの秋」となることを期待しましょう。
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